株式会社学研ロジスティクス 様
顧客ごとに用意していたEDIシステムをクラウドサービスに一本化
運用負荷を大幅に軽減し物理サーバなどの運用コストも不要に
学研グループの物流業務を担う株式会社学研ロジスティクスは、グループを含む300社以上を支援する中で培ったノウハウをベースに、顧客企業の物流業務の最適化とコスト削減を実現するサービスを提供。現在では、ネットワーク環境の無い倉庫でもハンディターミナルを利用して検品業務を行うことができるネットワーク非依存型の検品システムの開発・販売なども展開している。
これまで同社では、顧客企業からの出荷指示を同社のオンプレミス環境下にあるEDIシステムを介して受け取り、顧客企業が利用する倉庫会社に出荷用データを連携、出荷作業の終了後には顧客企業に完了報告を行うという流れで業務を行っていた。2013年、新規顧客からの業務を受諾し顧客企業とのデータ連携を至急実現する必要が生じた。
これを契機として、将来的なEDIシステムの刷新も見据えて同社が選択したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供するクラウド型EDIサービス「JFT/SaaS」だ。
会社名 | 株式会社学研ロジスティクス |
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設立 | 1992年10月1日 |
本社所在地 | 東京都品川区 |
事業内容 | 保管・配送業務、出荷検品システムの販売、販売促進の各種後方支援業務など |
URL | https://www.glg.co.jp/ |
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株式会社学研ロジスティクス
ソリューションビジネス本部 副本部長
システム部 部長(兼)丹代 尚 氏 -
株式会社学研ロジスティクス
ソリューションビジネス本部
システム部 運用課 主任関口 敦之 氏 -
株式会社学研ロジスティクス
ソリューションビジネス本部
システム部 開発課 担当課長吉本 拓哉 氏 -
株式会社学研ロジスティクス
ソリューションビジネス本部
システム部 開発課 担当課長今井 智也 氏
導入効果
- オンプレミスのEDIシステム群をクラウドサービスに一本化し運用負荷を軽減
- 障害発生時の一次切り分けとその後の対応も外注化することが可能に
- ハードウェア/ミドルウェア関連のITコストも一切不要に
EDIシステムの運用負荷が慢性的な課題に
株式会社学研ロジスティクスの顧客企業は、小売業や配送業をはじめとして多岐にわたっており、各企業とEDIシステムを介してデータ連携を行っている。実際の業務フローとしては、まず顧客企業から、配送する商品の商品番号と数量、出荷先などが盛り込まれた出荷指示データを受け取り、同社が保存する顧客の商品マスターから該当商品を引き当て、出荷作業を行う。そして出荷作業の終了後には、発送完了の報告を顧客企業に返すのだ。これまで同社では、こうしたデータ交換のためのEDIシステムを顧客企業ごとに構築していた。当時の課題について、ソリューションビジネス本部 システム部 運用課 主任の関口敦之氏は、次のように説明する。
「当時のEDIシステムは、オンプレミス環境下でお客様ごとにパッケージ製品を使ったり、自社開発で構築したりしていました。利用する通信手順もお客様ごとに異なり、全銀協標準プロトコル、HULFT、FTPを使い分けていました。そうした各システム、各通信手順に応じたハードウェアやミドルウェアを自社で調達する必要があったのです。機器の老朽化やメンテナンスコストの問題に加えて、何よりも我々の労力が運用のために割かれるという大きな問題がありました」(関口氏)。
そうした慢性的な課題を抱えていた2013年、同社は新規受託の顧客から“現在利用中の倉庫を変更したい”という連絡を受けた。その際には、新たに新規受託の顧客とのEDI環境を構築する必要がある。
「当時お客様ごとに用意していたEDIシステムは全部で約4?5本あり、当然インターフェースも違いますし、使い勝手も異なります。そこに新しいEDIシステムを構築するということになれば、ハード・ソフトのコストと運用の手間が追加で発生することになる。そこで将来的なEDIシステムの一本化も見据えた上で、外部のクラウドサービスを利用しようと考えました」(関口氏)。
“クラウドファースト”で複数のEDIサービスを検討
複数のEDIシステムが存在する以前の環境下で、特に同社を悩ませていたのが、多大な運用負荷だった。この点について、ソリューションビジネス本部 システム部 開発課 担当課長の吉本拓哉氏は、次のように説明する。
「例えば以前のEDIシステムの利用時には、年に2?3回程度、送信先にデータが届かない疎通障害が発生していたのですが、その際の障害の切り分けが非常に大きな負荷となっていました。原因究明のためには、やはりネットワークに詳しい人員が社内にいなければ対応することができません。コスト削減に加えて、我々の運用負荷の軽減までを実現できるような仕組みが必要でした」(吉本氏)。
そこで同社は“クラウドファースト”を前提に、外部のクラウド型EDIサービスを検討することにした。そして複数のサービスを比較検討した結果、最終的に選択したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供する「JFT/SaaS」だった。JFT/SaaSは、今回のような企業間のデータ交換やファームバンキングなどの場面に対して、多様な対外データ交換機能をサービスとして提供する。ユーザインターフェース機能に加えて、即時配信や時刻指定配信、集配信失敗時の自動リトライなどを行う通信管理機能、集配信ファイルの文字コード変換やレイアウト変換、ファイルの暗号化/復号化を行うデータ管理機能も備えている。このJFT/SaaSを採用した理由について、関口氏は “料金体系の分かりやすさと適正なコスト感”を挙げる。
「他のサービスは1通信ごとに課金されていき、使えば使うほど料金が上がっていく形でした。これに対してJFT/SaaSは、月額費用が1ヶ月あたりの通信ファイル数で金額が決まる定額の料金設定で、当社には向いていました。もちろん従来の通信量を各サービスに当てはめて試算した結果です」(関口氏)。
こうして同社は2014年1月末から導入プロジェクトを開始、同年5月より、まずFTPによるEDIからJFT/SaaSの利用をスタートさせた。
JFT導入で運用負荷が軽減、既存の物理サーバも不要に
JFT/SaaSを導入したことで、同社は長年の懸案事項だった運用負荷の軽減を実現することができた。この点について、ソリューションビジネス本部 システム部 開発課 担当課長の今井智也氏は、次のように説明する。
「先に話の出た疎通障害発生時には、お客様側のネットワーク環境に問題があるケースがあります。例えばお客様が電話回線をご利用されている場合には、通信帯域が制限されてEDI用のデータが停滞するという事態が発生しますが、これまではそうした原因を突き止めるところまで、我々が追いかける必要がありました。それが今では、我々はお客様もしくは配送会社へのデータ送信を行えば、万一障害が発生した場合でも、以降の原因究明と障害対応はTOKAIコミュニケーションズに任せることができます。EDIシステムの運用は本当に楽になりました」(今井氏)。
また現在も後を絶たない情報漏洩事件などを背景に、多くの顧客企業がセキュリティ対策の強化に取り組んでおり、現在通信プロトコルとしてFTPを利用しているが、今後はよりセキュアなFTPSに切り替えたいといった要望もよく寄せられるという。
「その際にもJFT/SaaSは、多様なプロトコルで通信が可能なため、お客様からの要望にも簡単に対応することができます。またデータ暗号化のご要望もよくいただきますが、そうしたニーズもJFT/SaaSの提供する機能で吸収することができる。以前のように、新たなハードウェアやソフトウェアを調達する手間やコストも一切不要になりました」(今井氏)。
一例を挙げれば、これまである顧客とデータ交換を行うために利用していたWindows NTサーバを無くすことができた。これによって物理的なハードウェアのコストが不要になり、メンテナンスの手間からも解放された。JFT/SaaSの導入から約5年が経過した現在、同社では、JFT/SaaSを介してデータ交換を行っている通信先が20社を超えたとのことだ。
TOKAIコミュニケーションズは今後も心強いパートナー
今回の導入プロジェクトを進めるにあたり、吉本氏はTOKAIコミュニケーションズのノウハウやフォローアップが非常に有用だったと強調する。
「JFT/SaaSという新しい仕組みの導入に際しては、各お客様との間で利用している通信プロトコルを変更する必要はありませんが、接続先がこれまでのシステムからTOKAIコミュニケーションズのJFT/SaaSに変わります。この点については適切なタイミングでお客様にご案内する必要があります。TOKAIコミュニケーションズのエンジニアの方には、そうした場に同席してもらい、お客様側のネットワークエンジニアの方と直接話をしてもらった上で、新しい接続のための要件定義をしてもらいました。我々だけでは対応が難しかったこのような作業を支援していただき、本当に助かりましたね」(吉本氏)。
最後にソリューションビジネス本部 副本部長 兼 システム部 部長の丹代尚氏は、TOKAIコミュニケーションズに対する今後の期待を次のように語ってくれた。
「現在は、ネットワークなどインフラ部分を担当するスタッフも含めたIT人材の確保が非常に難しい状況です。こうした環境下では、我々が相談したい時に豊富な知見を持って迅速に対応してくれるパートナーの存在は本当に心強い。これから世の中の変化のスピードはさらに加速し、我々が対応すべき事案も次々に発生してくると思います。TOKAIコミュニケーションズには引き続き、きめ細かく相談に乗ってもらえるパートナーとしての役割を期待しています」(丹代氏)。
- 本導入事例の内容は制作時(2019年9月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。